アジア初となる『Apex Legends (エーペックスレジェンズ)』世界大会「ALGS Year 4 Championship」が、札幌ドームで開催された。
1月29日から2月2日まで行われた本大会には、世界40チームが参加し、総額3億円の賞金を懸けた熱い戦いが繰り広げられた。
■世界の強豪が札幌に集結
日本からは「FNATIC(フナティック)」「REIGNITE(リイグナイト)」を含む4チームが出場。
特にFNATICは初日から快進撃を見せ、総合2位と好位置につけた。
最終的にはギリシャの「GO NEXT」が頂点に立ち、賞金60万ドル(約9,300万円)を手にした。
大会は4日間にわたり、グループステージから決勝まで段階的に進行。
グループステージでは4グループに分かれての総当たり戦、敗者復活戦を経て、決勝では熱気あふれるマッチポイント制の戦いが展開された。
■地域と融合した新しい大会運営
本大会の特筆すべき点は、従来のeスポーツイベントの枠を超えた地域密着型の運営だった。
地下鉄福住駅では期間中、ゲームキャラクターをモチーフにした特別装飾を実施。
地元のクラーク高等学院では、eスポーツ専攻の生徒たちが授業の一環として大会分析に取り組むなど、地域を巻き込んだ展開が印象的だった。
「会場設計にも工夫を凝らしました」と語るのは運営責任者だ。
選手と観客を同一平面に配置する「フラットビュー方式」を採用し、選手の表情や機材操作を間近で観察できる環境を整備。
EA開発者からも「想像を超える臨場感」と高い評価を得ている。
■産業連携で広がる可能性
会場では異業種との連携も目立った。
マツダ自動車は特設ブースでバーチャルレーシング体験会を開催。
地元メディアHTBと共同開発したAR観戦システムも導入され、eスポーツ観戦の新しい形を提示した。
特に注目を集めたのが「eスポーツ家庭理解促進プロジェクト」だ。
親子向けのゲームリテラシー講座や60歳以上限定の観戦エリアを設置するなど、世代を超えた交流を促進。
参加者アンケートでは23%が「家族と初めてeスポーツを体験した」と回答し、新たな観客層の開拓に成功している。
■経済効果も顕著に
大会期間中の総来場者数は34,000人を記録。Y
ouTube「esports_RAGE」とTwitchでの配信も多くの視聴者を集めた。
札幌市の分析によると、地下鉄駅の装飾や地元企業との連携により、観光収入は前年比15%増を達成したといえる。
北海道ハイテクノロジー専門学校の学生が運営に参加するなど、人材育成の面でも成果を上げた本大会。
札幌市は「ゲーム産業特区」としての強みを活かし、今後もeスポーツを通じた地域振興を推進していく方針だ。
アジア初開催となった今大会は、eスポーツと地域社会の新しい関係性を示す先駆的なモデルとった。
世界レベルの競技と地域活性化の融合―。
札幌から始まったこの試みは、今後のeスポーツ大会の新たな基準となるかもしれない。