1500年の歴史を持つ伝統のボードゲーム、チェスがeスポーツの最高峰に挑戦することになった。
eスポーツワールドカップ財団(EWCF)は、2025年の大会にチェスを正式種目として採用することを発表。
賞金総額150万ドル(約1億8000万円)規模の大会開催に向け、オンラインプラットフォーム大手のChess.comと複数年契約を締結した。
世界最強のカールセンがアンバサダーに
注目を集めているのが、世界的グランドマスター、マグナス・カールセン氏のグローバルアンバサダー就任だ。
カールセン氏は「チェスが世界を代表するゲームの一つとなることを、とても楽しみにしている。
この機会を通じて、若い世代のプレイヤーに刺激を与え、新しいファン層を広げていけることを願っています」と抱負を述べた。
予選はオンラインで展開
出場権獲得への道は、Chess.com主催のチャンピオンズ・チェス・ツアー(CCT)を通じて開かれる。
2025年2月と5月に開催される賞金総額30万ドルのオンラインツアーで、上位12名に本戦出場権が与えられる。
残る4枠については、サウジアラビアの首都リヤドで行われる最終予選で競われることになる。
10分の短期戦で魅せる
本戦は、1人10分の持ち時間で対戦するラピッドチェス形式で行われる。
この形式は、プレイヤーが戦略を練る時間を確保しつつ、観客を魅了する白熱した展開を実現することを目指している。
引き分けとなった場合は、白番が5分、黒番が4分の持ち時間で戦う「アーマゲドン」と呼ばれる決着戦で勝敗を決める。
オンラインで広がる新たな可能性
デジタル技術の発展はeスポーツとの融合で、長い歴史を持つチェスの世界にも大きな変革をもたらした。
Chess.comの会員数は現在約2億人に達し、特に若い世代の間で人気を集めている。
EWC財団のライヒャートCEOは「プレイの場がボードからスクリーンに変わっても、真剣勝負の本質は変わらない。
チェスの豊かな伝統と世界的な魅力は、私たちが目指すeスポーツの理想にぴったりと合致します」と、チェスを採用する意義を語った。
また、Chess.comの幹部は「オンラインプラットフォームによって、より多くの人々がチェスを楽しめるようになった。
EWCでの競技開催は、この流れをさらに加速させるでしょう」と新規プレイヤー獲得とチェス市場拡大への期待を示している。
現在、すでにeスポーツとしてのチェスは、TwitchやYouTubeで高い人気を誇っている。
トッププレイヤーの対戦は数十万人が視聴し、解説者によるリアルタイムの分析も大きな注目を集めている。
EWCでのチェス競技の開催は、伝統とテクノロジーの融合がもたらす新たな可能性を示している。
1500年の歴史を持つ古典的な頭脳戦が、最新のデジタル技術によって新たな魅力を見せ、2025年のeスポーツ史に新しい1ページが加わることになりそうだ。