国内のeスポーツが多方面から注目を集めている。
ある報道によれば、FPSやMOBAといった人気ジャンルだけでなく、格闘ゲームでも海外勢が参戦する機会が増加しているという。
ここでは、いつ、どこで、どのような大会や取り組みが行われ、なぜ盛り上がりを見せているのかを整理し、今後の見通しを探る。
格闘ゲームに訪れる新風『アジア競技大会』
アジア競技大会は、アジア・オリンピック評議会(OCA)が主催する国際総合スポーツ大会である。
前回、第19回大会は2023年に中国・杭州で開催され、史上初めてeスポーツが正式メダル競技として採用された。
種目には『ストリートファイターV』を含む7タイトルが選ばれ、日本代表としてカワノ選手とマゴ選手が参戦した。

次回の第20回アジア競技大会は、2026年9月19日から10月4日まで、日本の愛知・名古屋で開催される。eスポーツは引き続き正式競技として実施されることがすでに決定している。
今回発表されたeスポーツ競技は全11種目。その中でも格闘ゲームは特異な形式が採用され、「ストリートファイター」「鉄拳」「THE KING OF FIGHTERS(KOF)」の3タイトルを統合したチーム戦が実施され、一つのメダルを争う形となる。
これまで個別のタイトルごとに競われてきたeスポーツ競技において、異なるゲームを横断するチーム戦は前例のない試みであり、各国代表の戦略が大きく問われることになるだろう。
市場拡大と地域活性化
国際大会だけでなく、国内企業や地方自治体も大きな盛り上がりを見せている。
eスポーツ専用アリーナの整備や大手スポンサーの参入は、地域のイベント誘致に繋がり、佐賀県では「SAGAアリーナ」という大規模複合体育施設を2024年に開業し、その目玉利用の一つにeスポーツ国際大会の誘致を掲げている。
2024年末には同アリーナで都道府県対抗eスポーツ選手権全国大会が開催され、将来的にはアジア規模の大会招致も視野に入れて活動すると発表されている。
自治体レベルでは、他にも群馬県が「eスポーツの聖地」構想を掲げ専用施設整備を進めたり、大阪府が2025年の大阪・関西万博に合わせたeスポーツイベントを計画するなど、大型イベント誘致・連携の動きが各地にある。
新作タイトルの登場や既存タイトルの定期大会化が進み、大会の数や規模が拡張傾向にある。
国際大会に向けた練習拠点を確保するチームも増え、オンライン予選を通じて海外プレイヤーと対戦するケースが以前よりも一般化している。
教育分野との連携強化
さらに、地域だけでなく幅広い年齢層にもeスポーツの波は波及している。
高校のeスポーツ大会への参加校数は年々増え続け、現在では甲子園の出場校数を上回る約2000校以上が参加しているとも言われ、専門学校や大学でのeスポーツカリキュラム設置が増加。
ゲーム技術だけでなく、チーム運営やイベント企画といった周辺領域を学ぶ機会が広がっている。

若手プレイヤーが才能を開花させる場としても期待が寄せられており、一定の育成実績が出始めているという。
在学中に教育機関とプロチームが連携し、トライアウトやインターンシップ形式での研修を実施する動きも見られる。
実際、2021年の全国高校eスポーツ選手権で優勝したチームのエースプレイヤーは卒業後プロチームに加入し、現在国内リーグで活躍しています。また大学生についても、在学中にプロライセンスを取得してプロデビューするケースもある(例:18歳でプロ契約を結び大学進学を辞退した「Meiy」選手)
結論:今後の展望
国内のeスポーツは、市場規模の拡大とともに、地域経済や国際交流の面でも貢献度を高めている。
格闘ゲームを含む多彩なジャンルにおいて大会数が増え、海外プレイヤーとの対戦を通じてレベルアップが図られている点が特徴的だ。
プロゲーマーを取り巻くスポンサーシップの多様化や教育機関との連携強化は、人材の裾野を広げる要因になり得る。
今後はさらなるオンライン配信技術の進歩や、企業との大型プロジェクトの立ち上げにより、国内シーンが一段と活性化していくと見られる。