近年、アフリカではeスポーツ市場が着実に成長を見せている。
その陰で、日本発のプロジェクトが、教育支援を通じて現地の若者とeスポーツをつなげる新しい動きを生み出している。なぜ日本企業がアフリカで教育とeスポーツを結びつけるのか。その背景にある想いや具体的な取り組みを解説していく。
Forbes JAPAN「NEXT100」に選出された若き起業家
アフリカと日本をつなぐ事業を手がける日本人起業家・渡邊大智氏が、Forbes JAPAN(フォーブス・ジャパン)の「NEXT100 世界を救う希望100人」に選出された。

彼が代表を務めるREEV株式会社は、アフリカの若者を対象としたeスポーツ教育支援プロジェクトを展開し、現地のICTリテラシーやキャリア形成を支援している。
活動の核となるのは、ケニアにあるスラム地区「キベラ」での取り組みだ。REEVは現地NPOと連携し、ゲーミングPCを活用したICT教育やeスポーツ体験の機会を提供しており、娯楽にとどまらない“教育×ゲーム”の新たな可能性を切り拓いている。
こうした活動が国際的な評価を受け、教育格差や情報格差の是正に取り組む社会起業家として、国内外で注目を集める存在となっている。
REEV株式会社とは?
REEV株式会社は、日本国内で2021年に設立されたeスポーツ関連企業であり、「eスポーツを通じて社会課題を解決する」ことを理念に掲げている。企業としての特徴は、eスポーツを単なる競技ではなく、教育・国際支援・地域貢献といった社会的価値のある分野と結びつけて展開している点にある。
REEVの代表的な取り組みとして知られているのが、ケニア・ナイロビに位置するアフリカ最大級のスラム街「キベラ」におけるプログラミング教育支援である。これは、eスポーツを軸とした国際的な教育支援プロジェクトの一環として始動したものであり、同社が掲げる「教育格差の是正」という理念を体現するものとなっている。
これらの活動は、日本企業によるアフリカ支援の中でも極めて実践的のある事例として評価されており、REEVは単なるeスポーツ企業にとどまらず、「社会を変える仕組みをeスポーツを通じて作る企業」として、独自の地位を築きつつある。
アフリカにおけるeスポーツの現状と可能性
アフリカでは、スマートフォンの普及と共にeスポーツの注目度が急速に高まっている。とくにナイジェリアやケニア、南アフリカなどでは若年層を中心にプレイヤー層が拡大し、地域大会やコミュニティ主導のリーグも生まれつつある。
一方で、インフラや電力供給、教育環境といった課題も多く、持続的な発展には外部からの支援や制度設計が不可欠とされている。
REEVのような外部プレイヤーが現地と協働しながらeスポーツを教育・人材育成の文脈で活用する動きは、アフリカのデジタル成長と国際連携の架け橋として注目されている。
教育とeスポーツの融合が示す新たなモデル
REEVは単にゲームイベントを開催するだけではなく、eスポーツを通じたSTEM教育や言語教育の導入にも取り組んでいる。現地の若者にとって親しみやすい「ゲーム」というメディアを教育の入り口とし、将来的なキャリア形成やスキル開発へとつなげるモデルを構築している。
このアプローチは、教育へのアクセスが限られる地域において特に効果を発揮しており、今後は他国への展開や、日本との協働プログラムの拡充も検討されているという。