中東のゲーム業界が注目を集める中、とりわけ存在感を増しているのがサウジアラビアにおけるeスポーツの動きである。
国をあげて進められているこの分野への戦略的投資は、インフラ整備、企業連携、そして国際大会の開催といった複数の軸で本格化しており、産業としての厚みを着実に増している。
サウジアラビアのeスポーツ戦略に企業が本格参画
その象徴とも言えるのが、2025年4月に発表されたサウジeスポーツ連盟(以下、SEF)とSavvy Games Group(以下、Savvy)の提携だ。
これは、これまで政府主導で進められてきたeスポーツ振興に、民間企業が本格的に関与するフェーズに入ったことを示す動きだ。
官民が連携することで、国全体がeスポーツ産業を推進していくという姿勢があらためて明確になった。
SEFとSavvyが協力、幅広い分野で連携へ
Savvyは、サウジ政府系ファンド「PIF(公共投資基金)」が100%出資するeスポーツ・ゲーム投資の中核企業であり、国内外のeスポーツ企業への投資実績をもつ。
今回の提携では大会支援や人材育成、テクノロジー分野、教育支援での協力が盛り込まれており、サウジアラビアでのeスポーツ産業発展を後押しする動きとして、国内外から注目を集めている。
SEF アリーナ開設へ、eスポーツの拠点施設として注目
この連携の一環として発表されたのが、首都リヤドに建設予定の「SEF アリーナ」である。
この施設は、国際大会の開催に加え、ローカルイベント、コミュニティ交流、プロ選手の育成プログラム、教育研修までを一体的に担う複合的な拠点として設計されている。
単なるeスポーツ専用会場ではなく、観戦環境、配信設備、分析ルーム、スポンサー向けラウンジなど、多機能型アリーナとして国内外のイベント誘致にも対応できる施設となる見込みだ。
サウジアラビアeスポーツの象徴的存在として、今後の国際的な注目が集まる。
地域密着と国際展開の中間を担う取り組み
従来、同国では「Gamers8」や「Esports World Cup」など世界的なeスポーツイベントが注目を集めてきたが、SEF Arenaの設立は、日常的な活動やプレイヤー育成といった土台作りとして期待されている。
これは、サウジアラビアeスポーツの持続的成長において不可欠な要素である。
教育・研究・ビジネスへと広がるeスポーツの輪
今回の提携内容には、教育機関や研究機関との連携、eスポーツを活用したビジネス支援なども含まれており、産業全体の基盤づくりが進められている。
国内ではすでにeスポーツ関連のカリキュラムが導入されており、サウジアラビア国内でのeスポーツ人材の育成が始まっている。
まとめ:eスポーツ大国へと進化するサウジの今
- SEFとSavvyの提携で、国と企業が一緒にeスポーツを盛り上げる動きが加速
- SEF Arenaは、国際大会と地域イベントのどちらにも使える新しい拠点として注目されている
- 教育や仕事づくりなど、eスポーツを使った幅広い取り組みも始まっている
- 若手プレイヤーの育成から大規模イベントまで、成長を支える仕組みが整いつつある
- サウジアラビアのeスポーツは、イベント中心から本格的な産業へと変わり始めている
この動きが続けば、サウジは世界のeスポーツを牽引する存在になるかもしれない。