アメリカ eスポーツの現状とは―大学と地域が育てる新しい競技文化

徳本 翔太
アメリカeスポーツの現状とは

アメリカでは、eスポーツが大学の中だけで完結せず、地域とのつながりを生むイベントとしても注目されている。

2025年4月、ウィスコンシン州のチッペワバレー工科大学(CVTC)が主催した地域大会には、ウィスコンシン大学オークレア校やウィスコンシン大学ストート校などが参加し、『ロケットリーグ』や『オーバーウォッチ』で真剣勝負が繰り広げられた。

この大会は本格的なLAN接続で実施され、選手たちは戦略的なチームプレイを見せた。さらに、学生が配信や大会運営に関わる場面も多く、ただの試合にとどまらない実践的な学びの場になっていた。

観客の来場もあり、会場には協賛企業の展示ブースなども設置され、地域ぐるみのeスポーツイベントとしての一面も強く印象づけられた。

大学と企業が協力して進める教育型eスポーツ

ミネソタ州でも、eスポーツを教育に取り入れる動きが加速している。

ベミジ州立大学とノースウェスト工科大学は、地元の通信企業ポール・バニヤン・コミュニケーションズと提携し、共同でeスポーツプログラムをスタートした。

大学内には「ギガゾーン・eスポーツ・ラウンジ」という専用施設が設けられ、学生はチーム活動を通して協調性や課題解決力、リーダーシップを養っている。

配信や試合運営も学生主体で行われており、社会で役立つスキルを身につける機会になっている。

大学側は「eスポーツは教育にも通じるツール」として捉えており、授業の延長として学べる実践の場として育てている点が特徴だ。

大学施設の整備が進むアメリカ eスポーツ

こうした動きを支えるのが、大学キャンパスに設けられたeスポーツ専用施設である。

アメリカeスポーツ専用施設

たとえば、カリフォルニア大学アーバイン校では、アメリカの公立大学として初めてeスポーツ専用アリーナを設置し、学生がトレーニングや大会を行う場として活用されている。

さらに、イリノイ・ウェズリアン大学では、小型アリーナ型のeスポーツ施設「ザ・コロシアム」を設けており、配信ブースや観客席なども完備。こうした施設は、大学にとって広報や地域連携のきっかけにもなっている。

eスポーツを支える大学施設の整備は、全米各地で広がっているとされ、学びと競技を両立させる環境づくりが進んでいる。

まとめ:地域と教育が支えるアメリカ eスポーツのこれから

  • 地域大会が、学生にとって成長と交流の場になっている
  • 地元企業と大学が連携し、教育の中にeスポーツを取り入れる動きが進んでいる
  • 専用施設の整備が進み、学内外での活動がより活発になっている
  • プレイだけでなく、配信や運営など実践的なスキルも学べる環境が整ってきている

アメリカ eスポーツは、教育と地域が支え合いながら育てる新しい文化として、これからさらに広がっていきそうだ。

eスポーツライター。選手の素顔に迫るインタビューや大会レポートを得意とし、長年の経験を生かした独自の視点で業界の魅力を伝える。情熱を持ってeスポーツの今を発信中。