eスポーツを体験できる場所が増えている?地域連携の動きに注目

徳本 翔太
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eスポーツ体験施設が広がると何が変わる?

かつてeスポーツは、ごく一部のプロ選手や競技者による世界の話だと認識されていた。

しかし現在では、初心者でも気軽に体験できる“eスポーツ施設”が少しずつ全国に増えはじめている。このような体験型施設の登場は、地域社会や教育分野にも新しい波をもたらしつつある。

本記事では、和歌山で始動した地域連携型eスポーツ事業や、都市型施設の整備状況を紹介しながら、「体験できるeスポーツ」が社会にもたらす変化と可能性について考察する。

初心者でも楽しめる“体験型eスポーツ”とは

初心者でも楽しめる“体験型eスポーツ”とは

eスポーツを始めてみたいと考えていても、「自宅にゲーミング環境がない」「うまくプレイできるか不安だ」と感じる人は多い。こうした層に向けて整備が進んでいるのが、eスポーツを“体験”できる公共・民間施設である。

これらの施設では、高性能なPCや周辺機器、安定したネット回線が整っており、初心者でもストレスなくゲームをプレイできる環境が整備されている。

また、実況配信ブースや観戦エリアを設けた施設もあり、プレイヤー以外でもeスポーツの楽しみを味わうことができる。

eスポーツに対する「敷居の高さ」を取り払い、誰でも参加・体験できる空間として、こうした施設が増えることにより、さらにeスポーツが注目されていくだろう。

和歌山で始まったeスポーツ実証事業とは?地域との繋がり

2025年5月、和歌山市内原において、eスポーツとカフェを融合させた体験型スペースが開設された。

この施設は、誰でも気軽に立ち寄れる“居場所”として整備されており、ゲームプレイが可能なPCや配信環境、飲食スペースが一体となっている。地元大学と自治体などが連携し、地域住民や若者が自然に集まり、つながれる空間を目指している。

店内にはゲーミングPCのほか、配信設備、飲食スペースが整備されており、eスポーツを通じたコミュニケーションの場として活用される。

このように、eスポーツ施設が単なる娯楽の場ではなく、地域と若者を結びつける実証的な空間としての役割を果たしはじめている点は注目に値する。

東京でもeスポーツを体験できる|都市型施設の実例

地方だけでなく、都市部でもeスポーツ体験施設の整備が進んでいる。たとえば、KDDIが運営する「esports Style UENO」は、JR上野駅すぐの場所に開設されており、都市型eスポーツ拠点として注目を集めている。

この施設では、10Gbpsの高速通信回線や高性能ゲーミングPC、個室ブース、実況配信ルームなどが完備されており、初心者から上級者まで幅広く利用できる。また、イベントスペースとしての利用も可能であり、観戦型・交流型のeスポーツ体験にも対応している。

他にも「RED°TOKYO TOWER」などの大規模施設が登場しており、観光資源やエンタメ産業としての側面も強まっている。

さらに、イベント情報メディア「イベ活」では、全国各地のeスポーツ関連施設やイベント情報が発信されており、体験型施設の立ち上げが各地で進行している様子がうかがえる。

体験型eスポーツがもたらす社会的インパクト

eスポーツ体験施設が広がることによって、以下のような変化が社会に生まれる可能性がある。

  • 地元の若者や学生が、プロ選手や実況者を目指す最初のステップを踏める
  • 地域住民の交流や観光誘致など、まちづくりの一環として活用できる
  • 学校教育や情報リテラシー教育と連携し、デジタル人材の育成に貢献する
  • 地方からでも競技人口や関係人材が生まれる持続可能な仕組みを作れる

一方で、施設の設置・運営には相応のコストと人材が必要であり、継続的な支援体制の構築も今後の課題となる。

eスポーツ体験施設まとめ

eスポーツを体験できる場所は、和歌山のような地方都市から、東京のような大都市まで、徐々にではあるが着実に拡大しつつある。

これらの施設は、ゲーム好きな若者にとっての「はじめの一歩」を提供すると同時に、地域とつながる新たな公共空間としての可能性も秘めている。

eスポーツを“体験する”文化が広がっていけば、競技としてだけでなく、交流・教育・まちづくりといった多様な領域においても、その価値はますます高まっていくと考えられる。

eスポーツライター。国内外のeスポーツやゲーム業界のニュースを中心に、アップデート情報や選手・チームの動向を幅広く情報収集。 対戦型タイトルやチーム競技を中心に、スピードを重視をした情報提供を心がけている。 さらに、読者にとって「実用的でタイムリーなニュース」を届けるということをモットーとしている。