近年、「ファンタジーフットボール」と「eスポーツ」という一見異なる2つのデジタル競技が、徐々に交わりつつある。
ファンタジーフットボールは、プレイヤーが“オーナー兼ゼネラルマネージャー”として、自分だけの仮想チームを運営するゲームだ。
参加者はNFL(ナショナル・フットボール・リーグ)などの実在する選手をドラフトで獲得し、チームを編成。
毎週行われる実際の試合における選手の活躍に応じて「ファンタジーポイント」が加算され、その合計で他のプレイヤーと勝敗を競うゲーム。
一方、eスポーツは『League of Legends』や『VALORANT』など、ゲーム内で操作するプレイヤースキルを競う直接的な対戦競技だ。
一見ジャンルの異なる両者だが、今、欧米を中心に「観戦型スポーツのデジタル化」という共通点を軸に、2つの世界が近づいている。
どちらも“観る力”が勝負を分ける
ファンタジーフットボールでは、選手の調子や対戦相手、怪我の可能性といった細かい情報を読み解いて、チームを編成する。
つまり、実際にプレイするのではなく、分析と予測の精度が勝敗を分ける競技だ。
これは、近年のeスポーツでも同じ傾向が見られる。試合を「プレイ」する選手とは別に、それを「予測・分析」して楽しむ層が急増している。
例えば、LoLやDota 2の世界大会では、ピック・バン予想や勝敗予測を楽しむ視聴者が存在しており、こうした動きはeスポーツ版ファンタジーリーグの可能性を広げている。
デジタルスポーツ文化が融合する兆し
欧米ではすでに、ファンタジースポーツの仕組みをeスポーツに応用する動きが見られている。
たとえば、一部のファンタジーゲームプラットフォームでは『CS:GO』や『LoL』といったタイトルを対象に、プロ選手のパフォーマンスに応じたポイント制でスコアを競う仕組みが導入されている。
この仕組みは、従来のファンタジーフットボールと非常によく似ており、リアルスポーツファンとeスポーツファンの垣根を越える新たな市場として注目されている。
また、ファンタジースポーツをベースにしたeスポーツの視聴体験は、単なる「観戦」にとどまらず、“自分の選択が結果に影響を与える”体験として、視聴者参加型エンタメの可能性を広げている。
日本での展開はこれから
ファンタジーフットボールはアメリカでは非常にメジャーだが、日本ではまだ馴染みが薄い。
NFL自体の視聴層が限られていることもあり、その文化が浸透しているとは言い難い。
一方で、eスポーツのファン層は拡大を続けており、LoLやVALORANT、Apexなどの競技シーンを楽しむ層も増えている。今後、こうしたeスポーツファンが“観る戦い”としてのファンタジー型コンテンツに興味を持ち始める可能性は十分にある。
「選手のプレイを見るだけでなく、予測や分析でも自分の“勝ち”を追える」──そんな新しい楽しみ方が、これからの日本のeスポーツ観戦にも加わっていくかもしれない。
まとめ:ファンタジーフットボールとeスポーツの共通点とは
- ファンタジーフットボールは「実際に操作しない競技」であり、予測・分析が勝負の鍵
- eスポーツでも“観戦を楽しむ”ファン層が拡大し、類似性が生まれている
- 欧米ではファンタジー×eスポーツの融合が進行中
- 日本ではこれからの展開が期待される分野
- 「プレイするだけでなく、観る・予想すること自体が競技になる」時代が来ている
ファンタジーフットボールとeスポーツが組み合わさることで、これまでになかった新しい遊び方が生まれる可能性がある。