地理推理ゲーム『GeoGuessr(ジオゲッサー)』が、サウジアラビアで開催予定の「Esports World Cup 2025(以下EWC)」への出場を発表したのは、2025年5月15日のことだった。
しかし約1週間後の、5月22日にGeoGuessrは大会への出場を取りやめると公式Xで発表。突然の辞退に、eスポーツ業界やファンの間で驚きと混乱が広がっている。
なぜGeoGuessrはEWC出場を辞退したのか
GeoGuessrは、辞退の理由として「私たちの価値観と一致しないと判断した」と簡潔に説明している。
この一文だけでは詳細は明かされていないが、背景には主催国であるサウジアラビアの人権問題があると見られている。
特に、LGBTQ+の権利、報道の自由、女性の社会的地位などに関する懸念が海外を中心に広まり、参加表明直後からSNS上では批判的な意見が相次いでいた。
PC Gamerをはじめとする海外メディアもこの件を報道しており、GeoGuessrが大会参加を続けた場合、ブランドイメージへの悪影響が避けられなかった可能性もある。
わずか2日での辞退という判断は、炎上の拡大を避けるための“損切り”だったと見る向きもある。
ファンとの価値観を優先した判断
GeoGuessrは、ただのゲームではなく「世界を知る・地理を学ぶ」体験を提供する教育的なサービスでもある。
プレイヤー層には学生や教師、ストリーマーなど多様な人々が含まれ、企業としても社会的価値や透明性を重視してきた。
その意味で、今回の辞退はユーザーとの価値観の一致を優先した判断だったと言える。
SNS上では「よく決断した」「信頼できる企業だ」といった支持の声も多く、一部では「最初から調べておくべきだった」との意見も見られるが、全体としてはポジティブな反応が目立っている。
今後のeスポーツ参加方針にも注目
今回の出来事により、GeoGuessrが今後もeスポーツ大会に参加するのか、それとも自社主催やオンラインイベントなどに軸を移すのかが注目されている。
実際、GeoGuessrはこれまでも独自のコミュニティ大会やイベントを開催しており、必ずしも外部の大型大会に依存する必要はない立場にある。
また、今回のように「どの大会に出場するか」という判断自体が、企業の姿勢や倫理観を示す時代になってきている。
eスポーツは成長を続ける一方で、運営方針や開催国の背景が選手・企業・観客に与える影響も無視できない。
まとめ
- GeoGuessrはEWC出場を発表後、わずか2日で辞退を決断
- 辞退の背景には、主催国サウジアラビアの人権問題に対する批判があると見られる
- 企業として、ファンとの価値観を重視する姿勢を示した形
- 今後のeスポーツ界では「大会を選ぶ責任」が企業に求められるようになる可能性も
GeoGuessrの判断は、単なる辞退ではなく、eスポーツのあり方そのものに問いを投げかける出来事だった。