2025年、eスポーツはゲームの枠を超え、広告・配信・エンタメの交差点として進化を遂げている。
その中で存在感を急強めているのが、世界的テック企業・Amazonだ。
Esports World Cup Foundationとの提携を通じ、Amazonは広告やテクノロジーを駆使しながらeスポーツ市場への本格参入を果たした。
本記事では、Amazonの戦略と、それがeスポーツ業界にもたらす変化について解説する。
Amazonのeスポーツ戦略とは?
Amazonは、Esports World Cup Foundation(EWCF)と3年間の戦略的提携を締結。
サウジアラビア・リヤドで開催される世界最大規模のeスポーツイベント「Esports World Cup(EWC)」において、自社のサービスを活用して、ファンが楽しめる新しい体験づくりに取り組んでいる。
Amazon Adsの広告プロダクト4選
Amazon Adsは、Twitch上で展開可能な広告プロダクトを以下の4種類に整理し、eスポーツとの親和性を高めている。
- チャネルスキン:動画プレイヤーを囲むクリック可能な広告表示
- メッセージ読み上げ:配信中に配信者が広告文を読み上げる
- スポンサーサブスク:期間限定で視聴者にサブスク割引を提供
- フォロワープロモーション:配信が視聴者のフォロー欄上位に表示
これらの機能はすべて管理可能で、フルファネルでのマーケティング設計を支援している。eスポーツというライブ・インタラクティブな環境において、広告のリアルタイム性とエンゲージメントを最大化できる点が強みだ。
Twitchが変えるeスポーツの視聴体験
Amazon Adsは2025年5月、新たな広告ソリューション「Twitch Creator Sponsorships(ツイッチ・クリエイター・スポンサーシップス)」を発表した。
Twitch配信者と広告主のコラボレーションを促進することで、従来よりも簡単にファンとブランドを結びつけられるように設計されている。
この取り組みでは、ゲームジャンルや視聴者層に特化した配信者が広告キャンペーンに参加し、メッセージの読み上げや限定割引の提供など、視聴体験に直接関わる形でファンとの接点を広げている。特にeスポーツ配信では、熱心なファン層が多いため、配信を通じてブランド認知とロイヤルティを高める絶好の機会となる。
Twitchで配信される広告の視聴率は90%以上とも言われており、今後この仕組みが広がれば、eスポーツの視聴そのものもより魅力的でインタラクティブなものへと変わっていく可能性がある。
Amazon参入がもたらすeスポーツ業界の未来
Amazonの参入によって、eスポーツの楽しみ方はこれまで以上に広がろうとしている。
たとえば、Twitchで試合を見ながら応援グッズをその場で購入したり、Alexaに話しかけて最新の大会情報を聞いたり、Prime Videoで選手のドキュメンタリーを視聴したり──こうした体験が一つにつながり、より深くeスポーツと関われる時代が始まっている。
視聴者にとっては「ただ見る」から「関わる」へと変わる一方で、配信者や選手、チームにとっても収益化のチャンスが増え、業界全体が活気づいている。
こうした好循環が生まれることで、eスポーツという文化そのものがより大きく、持続的に成長していくことが期待される。