eスポーツの経済効果、BLAST主催大会が示した可能性

徳本 翔太
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BLAST.tv Counter-Strike

2025年6月、アメリカ・オースティンで開催された「BLAST.tv Counter-Strikeメジャー大会」は、約5万人を動員する大規模イベントとなり、地域経済にも大きな影響を与えた。

eスポーツが街に与える経済効果とはどのようなものか、その具体的な事例として注目されている。

本記事では、本大会がもたらした経済インパクトや、放映戦略との関係について解説する。

BLAST.tv主催のCounter-Strikeメジャー大会とは?

ムーディーセンター

2025年6月、米国テキサス州オースティンにある多目的アリーナ「ムーディーセンター」にて、BLAST.tv主催の『Counter-Strike(カウンターストライク)』メジャー大会が開催された。

本大会には世界中から強豪チームが集い、約5万人のファンが来場。3日間のプレーオフトーナメントを含む大規模イベントであり、決勝戦では総額約1億5,600万円(100万ドル超)の賞金が授与された。

チケットは2025年2月の発売開始からわずか6時間で完売し、BLASTの歴史上でも前例のない反響を呼んだ。

半年以上にわたり、世界各地のチームが本大会を目指して競い合っており、eスポーツに対するグローバルな関心の高さがうかがえる。

オースティンに与えた経済効果は約47億円超

主催者の発表によれば、今回のメジャー大会によってオースティン市にもたらされた経済効果は約47億円(3,000万ドル)以上にのぼるという。宿泊施設、飲食店、交通機関、観光業界など地域全体が活性化された。

また、この大会は同年オースティンで開催された大型イベント、サウス・バイ・サウスウエスト(SXSW)、2025 MLSオールスターゲーム、F1アメリカグランプリ、と並ぶ一大イベントとして注目された。

テレビ放映権でeスポーツが変わる?BLASTとeCLUTCHの提携

eCLUTCHのロゴ

BLASTはeスポーツ専門の配信企業eCLUTCH(イークラッチ)とグローバル放映権契約を締結し、『Fortnite(フォートナイト)』や『Rocket League(ロケットリーグ)』などの人気タイトルを含む大会を、テレビおよびOTTプラットフォームを通じて世界中で放映している。

この動きにより、従来のオンライン視聴層を超えた新たな視聴者層の獲得、テレビ広告による収益力の向上、eスポーツの公共的信頼性の強化といった効果が見込まれている。

eスポーツと都市経済の関係性

今回のBLASTメジャー大会は、単なる一過性の娯楽イベントにとどまらず、都市のブランディングや観光資源としての可能性を改めて示した。

SXSWやF1といった大規模イベントと肩を並べる形で開催されたことは、オースティンという都市にとっての価値向上に大きく貢献したといえる。

将来的には、eスポーツが「地域振興」「都市経済戦略」「観光誘致」の一環としてさらに重視されていくことが期待される。

まとめ

BLAST主催の『Counter-Strike』メジャー大会は、eスポーツがもはやゲーム産業の枠を超え、地域経済や都市戦略においても重要な役割を果たし得る存在であることを明らかにした。

観光、広告、公共性、そのすべてにおいてeスポーツは新たな成長段階に突入している。今回の事例は、日本を含むアジア地域にとっても学ぶべきモデルケースとなるだろう。

eスポーツライター。国内外のeスポーツやゲーム業界のニュースを中心に、アップデート情報や選手・チームの動向を幅広く情報収集。 対戦型タイトルやチーム競技を中心に、スピードを重視をした情報提供を心がけている。 さらに、読者にとって「実用的でタイムリーなニュース」を届けるということをモットーとしている。