2026年度、佐賀県の県立唐津青翔高校に、日本で初めて公立高校として「eスポーツ学科」が新設されることが発表された。
これまで部活動や専門学校など限られた場でしか学べなかったeスポーツが、ついに高校教育の一環として正式に取り入れられる。
この学科では、プロゲーマーだけでなく、ストリーマー、ゲームクリエイター、イベント運営者といった多様なキャリアに対応した人材育成を目指している。最大定員は20名で、全国からの入学希望者を受け入れる方針だ。
授業でゲームを学ぶeスポーツ教育とは?

eスポーツ学科のカリキュラムは、単にゲームをプレイするだけにとどまらない。
情報処理やプログラミング、ビジュアルデザインといった科目が組み込まれ、従来の教科(国語・数学・英語など)と並行して学ぶ構成となっている。
また、プロゲーマーを招いた特別授業や、eスポーツ大会の企画・運営の体験など、現場を意識した実践的な学びが特徴だ。ローカル5Gなどの先端通信インフラが整備された地域性も、学びの質を高める要素となっている。
カプコンも教育にeスポーツ導入を推進
eスポーツを教育に取り入れる動きは、民間企業にも広がっている。とくにゲーム業界大手のカプコンは、競技大会の運営に加えて、教育機関との連携にも力を入れている。
カプコンのeスポーツ教育支援では、専門学校や大学でeスポーツを活用した学習プログラムの開発が進み、学生がコミュニケーション力やデジタルスキルを習得する機会が増えている。これにより、高校から大学、そして業界へとつながるキャリアパスの形成が進みつつある。
世界でも広がる「教育としてのeスポーツ」
日本だけでなく、海外でもeスポーツを教育に取り入れる動きが拡大している。
特に注目されているのが、アフリカ諸国と日本の連携によるプロジェクトだ。
アフリカのeスポーツでは、低コストで導入可能なeスポーツを通じて、IT人材育成や若年層の教育機会創出が行われており、社会課題の解決にもつながっている。
また、アメリカや韓国ではすでに高校・大学にeスポーツ関連学科が存在し、戦略的思考やチームワーク、メディア運用などを学ぶ授業が体系化されている。
eスポーツと教育が交わる未来

eスポーツを教育に取り入れる動きは、単にプロゲーマーを増やすことが目的ではない。
コンテンツ制作や配信、イベント運営など、eスポーツを軸にした多様なスキルを育むことで、将来の進路の選択肢が広がる。
また、地域活性化やIT人材不足への対応という面でも、eスポーツ学科の意義は大きい。教育の場での多様性が求められる今、「ゲーム」が新しい学びの入口として機能し始めている。
日本におけるeスポーツ教育の広がりは、まだ始まったばかりだ。しかし、佐賀県の取り組みは確実に新しい流れを生み出していると言えるだろう。
まとめ
- 佐賀県で公立高校として日本初のeスポーツ学科が2026年度に開設予定
- プロゲーマー育成だけでなく、配信・イベント・デジタル分野を総合的に学ぶカリキュラム
- カプコンやアフリカなど世界でも教育×eスポーツの動きが広がりつつある