2025年6月、eスポーツ界で人気のモバイルゲーム『モバイル レジェンド: Bang Bang(モバイル・レジェンド・バンバン)』において、シンガポール地域リーグ「MPL シンガポール」のプレーオフ出場チームが八百長の疑いで出場停止処分を受けた。
公正な競技運営が求められる中、注目を集めていたチャレンジャー予選出場チーム「Everlasting Luv(エバーラスティング・ラブ)」に何があったのか。公式発表をもとに事実関係を整理する。
MPLシンガポールとは?
「MPL(Mobile Legends: Professional League)」は、モバイルレジェンド: Bang Bangの公式地域リーグであり、東南アジアを中心に展開されている。

中でもMPLシンガポールは国内唯一のプロリーグとして確固たる地位を持つ。
2025年のシーズン9では、新たに「チャレンジャー予選」という仕組みが導入された。これは、一般コミュニティチームがプロと同じ舞台で戦うチャンスを得るためのもので、Everlasting Luvはその予選を勝ち抜いてプレーオフ出場を果たしたチームのひとつであった。
八百長疑惑のチームが出場停止処分に
2025年6月4日、MPLシンガポール委員会はシーズン9のレギュラーシーズン第3週に行われたEverlasting LuvとSovereign SG(ソブリン・エスジー)の試合において、「不審なゲームプレイ」があったと発表を受け内部調査を開始した。
同チームのプレイヤーであるAkashi(アカシ)、Kyushu(キュウシュウ)、WILLYYY(ウィリー)は、ゲーム内の行動やチーム内のコミュニケーション内容、アカウントのプレイ履歴などに関する事情聴取を受けたが、その説明が証拠と一致しなかった。
調査の結果、3選手はいずれもMPL規則「チームは常に最善を尽くしてプレーしなければならない」に違反。また、調査中に虚偽の説明を行ったことも問題視され、リーグ運営から重い処分が下された。
MPLシンガポールの対応と声明
MPLシンガポール委員会は声明の中で、「国内唯一のプロeスポーツリーグとして、公正性と透明性のある競技運営を最優先にしている」と強調。
今回の処分は、競技の健全性を守るという強い意思表示であり、「全てのフェアプレー違反には厳格な措置を講じる」としている。
今後のプレーオフと賞金の行方
Everlasting Luvの失格により、Kingdom Esports(キングダム・イースポーツ)が不戦勝となり、次ラウンドへの進出が決定。
上位ブラケット決勝では、強豪チームFlash SG(フラッシュ・エスジー)と対戦することになった。
残るチームは、賞金総額約440万円と、サウジアラビアで開催されるミッドシーズンカップ(Mid Season Cup)への出場権をかけて、引き続き激戦を繰り広げている。
eスポーツにおける八百長とそのリスク
今回の件は、eスポーツにおける八百長のリスクが依然として存在していることを改めて浮き彫りにした。とくにコミュニティチームや下位大会では、監視体制やルールの遵守が不十分になりがちである。
実際、VALORANT(ヴァロラント)でも八百長問題が発生しており、競技の信頼性を揺るがす事例が相次いでいる。
フェアプレーを徹底しなければ、ファンやスポンサーの信頼を失いかねず、業界全体の成長を阻害する要因ともなり得る。