2025年6月、プロeスポーツチーム「REJECT(リジェクト)」を運営する株式会社REJECTが、映像制作会社「株式会社サイラン(Cyran)」の全株式を取得し、完全子会社化したことが明らかになった。
今回の買収は、eスポーツ業界におけるクリエイティブ分野の重要性を示す事例として注目されている。
REJECTはこれまで『VALORANT(ヴァロラント)』『PUBG MOBILE(ピーユービージーモバイル)』など、複数タイトルで国内トップクラスの競技実績を持ち、国内外での存在感を高めてきた。
一方、サイランはアニメーターやCGクリエイター、イラストレーターなど多様な表現者が所属し、映像企画から制作までを一貫して行うクリエイティブカンパニーである。
なぜREJECTはサイランを買収したのか

REJECTのプレスリリースによれば、今回の買収は「グループ内に卓越したクリエイティブ制作能力を取り込む」ことで、所属選手やストリーマーへの支援体制をより一層強化することを目的としている。
映像やビジュアル表現の強化により、チームや選手の魅力をより効果的に伝える体制の構築を狙う。
REJECTはこれまでもSNSやYouTubeを活用した情報発信に力を入れてきたが、今後はさらに質の高いコンテンツ制作が可能になると見られる。
実際、発表に際して公開された「ストリートファイターリーグ: Pro-JP 2025」参戦ロスター動画も、サイランが手がけたと思われる高いクオリティの作品となっている。
eスポーツにおける「クリエイティブ」の価値
eスポーツチームにとって、ビジュアルや映像などのクリエイティブ領域は、競技力と並ぶもう一つの競争力となっている。
試合映像や選手紹介、イベント告知、ブランドムービーなど、視覚的に訴えるコンテンツは、ファンの共感を生み、チームのブランディングを支える要素となる。
また、チームは競技活動だけでなく、アパレル展開や企業とのコラボ、イベント主催など、多角的なビジネスを展開している。
こうした中で、表現力のある映像制作会社を内包することは、事業全体の相乗効果を高めることにつながる。
世界市場を見据えた動き
REJECTは2025年3月、世界的eスポーツイベント「Esports World Cup(EWC)」のクラブパートナープログラムに加盟したことを発表している。

このような国際展開の中で、グローバル基準のクリエイティブ力を持つことは重要な競争要素となる。
今回の買収は、eスポーツチームが競技の枠を超えて「総合エンターテインメントブランド」へと進化していく潮流を象徴している。
まとめ
REJECTによる株式会社サイランの買収は、チーム運営に加えてクリエイティブ面の強化を図る戦略的な一手である。以下のような点が特に注目される。
- コンテンツ力の強化:高品質な映像やグラフィック制作を内製化し、発信力をさらに高める体制が整った
- 選手・ストリーマー支援:魅力的なコンテンツ提供により、所属メンバーの露出やブランド価値の向上が期待できる
- グローバル展開への備え:Esports World Cupへの参画をはじめ、世界を見据えた展開と発信力強化の基盤づくりが進行中
今後、REJECTがどのようなコンテンツ展開を見せるのか、国内外のファンや関係者からの関心はますます高まりそうである。