チーム・リキッドPH、MPLフィリピンS15制覇で再び世界へ

徳本 翔太
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チーム・リキッドPH、MPLフィリピン

東南アジアで最も熾烈なモバイルeスポーツリーグの一つ「MPLフィリピン」において、Team Liquid PH(チームリキッド)が再びその名を轟かせた。

2025年春、グランドファイナルで宿敵ONIC Philippines(オニック・フィリピン)を破り、シーズン15の王座を獲得。この勝利により、MLBBミッドシーズンカップ2025(MSC 2025)への出場権も手にした。

Team Liquid PHの軌跡

Team Liquidは言わずと知れたグローバルeスポーツチームであるが、フィリピン部門の設立は比較的新しい。

2024年に初めてMPL PHに参戦し、シーズン13では鮮烈なデビュー優勝を果たした。以降も好成績を重ね、ミッドシーズンカップ2024では3位に輝いた。

しかしその後、M6世界選手権の出場を逃し、一時は影が差した。そんな状況を打破すべく迎えた今シーズンでは、実力派選手PerkzおよびOhebの加入によりチーム力を大幅に強化。

グループステージを12勝2敗で1位通過し、アッパーブラケット準決勝ではTeam Falcons PH(チームファルコンズ)との接戦を制して勢いを見せた。

予想を覆す展開となったプレーオフ

プレーオフでは一時、M6世界王者に0-3で敗北を喫する場面もあった。

しかし、その後の下位ブラケット決勝で再びTeam Falcons PHを下し、決勝への切符を掴み取った。

グランドファイナルでは、東南アジア最高峰とも評されるTeam Liquid PHとONIC Philippinesが再び激突。7戦先取のシリーズは、まさに名勝負となった。

序盤、Liquidが先手を取りつつもONICが連勝で追い上げる。中盤はLiquidが立て直して勝利し、シリーズは5-3でTeam Liquidが制した。試合ごとに流れが大きく変わる展開は、観る者にとっても緊張感に満ちたものとなった。

MVPは“Sanji”、勝利を決定づけたプレー

アルストン・サンジ・パビコ

このシリーズのMVPとなったのが、Sanji(アルストン・サンジ・パビコ)である。特に最終戦では、的確なスキル使用とポジショニングで試合を掌握し、名実ともにMVPの活躍を見せた。

この勝利により、チームリキッドは賞金約730万円を獲得し、MSC 2025への出場権も確保。リヤドで開催予定の同大会には、世界各地のMLBB強豪チームが参戦し、賞金総額は300万ドルに達する。

国際舞台でのリベンジに挑むLiquid

昨年は世界大会出場を逃し、ライバルチームに先を越されたLiquid PHであるが、今季の結果を見れば、その屈辱を糧に着実な進化を遂げたことがうかがえる。2025年後半は、いよいよ世界の舞台での活躍が注目される。

同チームは、先日話題となったリーダーnAtsのビザ問題によるMasters Toronto欠場など、グローバルチームならではの課題も抱えている。

しかし、それすらも乗り越えて前進する姿勢が、ファンの心を惹きつけてやまない。

チーム・リキッドとは?

Team Liquid(チーム・リキッド)は2000年に設立されたオランダ拠点のeスポーツチームで、複数のタイトルにおいて世界的な活躍を続けている。

『League of Legends』『Counter-Strike』などをはじめ、近年は『(MLBB)』部門にも本格参入。北米、ヨーロッパ、アジアに拠点を持ち、多国籍チームとしての柔軟な運営体制が特徴である。

eスポーツ業界において最も知名度の高いチームの一つであり、フィリピン部門の成功はそのグローバル戦略の一環といえる。

eスポーツライター。国内外のeスポーツやゲーム業界のニュースを中心に、アップデート情報や選手・チームの動向を幅広く情報収集。 対戦型タイトルやチーム競技を中心に、スピードを重視をした情報提供を心がけている。 さらに、読者にとって「実用的でタイムリーなニュース」を届けるということをモットーとしている。