インドのeスポーツ業界が、大規模の盛り上がりを見せている。
2025年7月に開催される「Battlegrounds Mobile India Pro Series(BGMIプロシリーズ)2025」は、賞金総額4,000万ルピー(約7,300万円)という過去最大規模で実施され、同国におけるeスポーツの存在感をさらに押し上げた。
大会は首都ニューデリーのヤショブーミ・コンベンションセンターで行われ、上位16チームが3日間にわたって激突する。これは単なるゲームイベントではなく、インドの若年層を中心とした新たな競技文化の到達点とも言えるだろう。
インドeスポーツ市場の拡大が加速
2025年のBGMIプロシリーズは、インドにおけるeスポーツの急成長を象徴する大会となっている。
モバイルゲーム『Battlegrounds Mobile India(BGMI)』の人気を背景に、数多くのプロチームが育成され、競技シーンが整備されつつある。
本大会には、NoNx eスポーツや8BIT、Gods Reignなど地元で人気を集めるチームが参加。大会スポンサーにはrealme(リアルミー)やKia(キア)といったグローバル企業も名を連ねており、eスポーツが若者市場への主要なアプローチ手段として注目されていることがうかがえる。
運営元のKRAFTON Indiaは、今回の賞金増額について「選手の努力を正当に評価し、eスポーツを魅力的で持続可能なキャリアにすることが目的」と説明しており、今後もこうした大会が継続・拡大していく可能性は高い。
サウジアラビアとの連携が進む理由
インド国内の盛り上がりと並行して、国際的な連携も進んでいる。中でも注目すべきは、サウジアラビアとのeスポーツを通じた協力関係である。
サウジは国家改革計画「ビジョン2030」の一環として、eスポーツを戦略産業に位置づけている。
国内リーグの整備やプロチーム育成、大規模施設「SEF Arena」の建設など、国家主導の取り組みが加速している状況だ。
2024年にはムンバイで開催されたイベント「WAVES」において、サウジとインド両政府がeスポーツ大会の共催や若者交流の推進に関して協議を開始した。これにより、両国間でのリーグ創設や人材育成プログラムの共同実施など、より具体的な取り組みが現実味を帯びてきている。
eスポーツと他分野の融合
eスポーツを軸としたインドとサウジアラビアの協力関係は、テクノロジーを媒介にして他分野へも広がりを見せている。その一例が農業分野である。
インドの国際作物研究所が開発した乾燥地向けの穀物「ソルガム」は、サウジの気候条件に適しており、高評価を得ている。現在は、スマート農業やデータ連携といった形で技術協力が進行中である。
このように、eスポーツと農業という一見無関係な分野が、テクノロジーを通じて接続されている点は非常に興味深い。両国がそれぞれの強みを持ち寄り、持続可能な成長を目指す「分野横断型のパートナーシップ」が実現しつつある。
まとめ
- インドeスポーツは、BGMIプロシリーズの賞金増額などを通じて急成長を遂げている
- サウジアラビアとの連携は、国際大会開催や若年層の人材育成など戦略的に進行中
- eスポーツを起点とし、農業など異分野にも広がる国際協力モデルが注目されている