人気eスポーツブランド「FaZe Clan(フェイズ・クラン)」と、親会社である「GameSquare Holdings」が、2023年に発表された買収契約から約1年を経て、FaZe Media部門の完全売却により正式に分離したことが明らかとなった。
GameSquareは2024年3月時点でFaZe Mediaに残っていた持分をすべて売却し、両社の関係は完全に解消された形となる。
この決定は、両社の方向性の違いや事業の再編成を背景に行われたもので、今後それぞれが独立した戦略のもとでブランド価値や事業拡大を目指すことになる。
売却の背景と目的

FaZe Clanは、2000万人以上のSNSフォロワーを抱えるアメリカ発のeスポーツ組織で、プロゲーマーだけでなくインフルエンサーとしても影響力を持つ存在である。
一方でGameSquareは、eスポーツやゲームを軸に、広告・イベント・ブランド戦略などを展開する企業で、FaZeを含む複数のゲーム関連ブランドを傘下に収めていた。
しかし、両社の統合後も収益性や戦略面での乖離が浮き彫りになり、協業によるシナジー創出が困難と判断されたことが、今回のFaZe Media売却につながったと見られる。
今後のGameSquareとFaZe Clanの動向
GameSquareは、FaZe Mediaの売却と同時に、「ゲームとライブ体験の融合」に力を入れた新たなエンタメ戦略に注力していくと発表している。
特に北米市場におけるeスポーツ大会やゲームイベントに音楽ライブ、ファン交流を組み合わせた複合型イベントの開催や、体験型ブースの展開などを通じて、観客との接点を強化する方針である。
一方、FaZe Clanはeスポーツチーム運営を中心に、従来のインフルエンサー事業をより自立的に展開していくと考えられる。
FaZeの公式XアカウントやSNSでは、引き続きブランド発信力を活かしたプロモーションが活発に行われており、個々のメンバーによる影響力にも注目が集まっている。
日本市場との関連性は?
現時点で、両社の日本市場における直接的な提携や展開は確認されていない。
ただし、FaZe Clanはグローバルブランドとして日本国内でも一定の知名度を有しており、YouTubeやXを通じて日本のeスポーツファンからの支持を集めている。
特に若年層を中心にeスポーツカルチャーが浸透しつつある日本市場において、今後FaZeが独自の展開を見せる可能性もあり、日本を含めたアジア圏への戦略拡大が注目される。
まとめ
FaZe ClanとGameSquareの関係解消は、eスポーツ業界における企業戦略の転換点といえる。
特に、ブランドの独立性や経営の柔軟性を重視する動きが加速するなか、今回の分離は今後の業界の再編にも影響を与える可能性がある。
両社が今後、どのような道を歩むのか、今後の展開に注目したい。