2024年3月31日に一般社団法人日本eスポーツ連合(JeSU)より発行された『日本eスポーツ白書2024』では、国内eスポーツ市場の最新トレンドや成長見込みについて詳細な分析が行われている。
これにより、これまで可視化されづらかった分野ごとの市場規模や、年齢層別の参加者傾向などが明らかとなり、日本におけるeスポーツの「今」が改めて注目されている。
日本eスポーツの現在地
2024年4月、「全国都道府県対抗eスポーツ選手権 2024 SAGA」の予選エントリーが開始され、今年も都道府県対抗で競うeスポーツの全国大会が本格始動した。

『グランツーリスモ』や『ぷよぷよ』といった幅広いタイトルが採用され、世代や性別を問わず参加できる大会として注目された。
こうしたイベントは、地域振興や人材育成の側面からも評価されており、全国各地でのeスポーツ普及を後押ししている。
異業種の参入が加速中
近年では、鉄道業界の西武鉄道がeスポーツ事業への参入を発表するなど、異業種からの関心が急速に高まっている。
また、2025年の大阪・関西万博では、eスポーツに関連した展示も計画されており、公式発表によれば、先端エンタメ技術の一例として紹介される見込みだ。
これらの動きは、eスポーツの社会的認知度が着実に高まっていることを示している。
都市型施設とカフェの広がり
東京や大阪など都市部では、eスポーツ専用施設やカフェの開業が相次いでいる。
これらの施設では、プレイだけでなく観戦やイベント参加も可能で、eスポーツを気軽に体験できる環境が整いつつある。
特に若年層を中心に、こうした空間は「日常的に集まる場」として定着し始めている。
世界で活躍する日本のeスポーツ選手たち
日本の選手は、世界規模の大会でも着実に実績を重ねている。

たとえば『ストリートファイター6』では、プロ選手が国際大会で上位入賞を果たし、格闘ゲームシーンを牽引している。
また、FPSやMOBAといった他ジャンルでも、日本代表選手の活躍が注目されており、国内外から高い評価を受けている。
課題:制度と収益構造の整備
一方、日本のeスポーツはまだ課題も多い。
とくに法制度の未整備や、プロ選手の収益面での不安定さが指摘されている。
また、チーム運営に必要なスポンサー収入が乏しいケースも多く、長期的な選手育成が難しいのが現状だ。
こうした状況に対し、日本eスポーツ連合(JeSU)はライセンス制度の改善や競技人口の拡大を目指した取り組みを継続している。
今後の展望と成長の鍵
日本のeスポーツ市場を成長させるには、以下のようなポイントが重要になる。
・【地域との連携】:地方大会の活性化と地元自治体の支援
・【企業の参入】:スポンサーの獲得とイベント主催の促進
・【教育との接続】:学校教育への導入や学生大会の拡充
とくに「全国都道府県対抗eスポーツ選手権」のような大会は、若手選手の育成と地域振興を両立する場として重要な役割を担っている。
こうした流れがさらに加速すれば、日本も世界基準のeスポーツ大国として台頭していく可能性は十分にある。