インドの大手企業Reliance Industries Limitedは、デンマークのeスポーツ企業 BLASTと提携し、インド国内でのeスポーツ事業を展開する新たなジョイントベンチャーを立ち上げた。
この提携により、両社は今後数年で急成長が期待されるインドeスポーツ市場を共同で開拓していく方針である。
発表によると、両社はRelianceの子会社である「RISE Worldwide Limited」を拠点に、BLASTと共同でインド国内のeスポーツ事業を展開する合弁事業を開始すると発表した。
運営の中心はインド国内に置かれ、eスポーツイベントの主催、選手育成、放映・配信権の管理、スポンサーシップ獲得など、包括的なビジネス展開が計画されている。
BLASTは、これまでに『Counter-Strike』や『PUBG』などの人気タイトルを中心に、国際的な大会運営の実績を持っており、そのノウハウがインド市場にも応用されると見られる。
拡大するインドeスポーツ市場の可能性
近年のレポートによれば、インドのゲーミング市場の規模は2024年時点で約6億人のプレイヤーを抱えており、今後3年間で約3倍に成長する可能性があると予測されている。

こうした背景からも、eスポーツにおける市場参入は極めて戦略的な判断といえる。
BLASTのCEOであるロビー・ドゥーキン氏は、「インドのような新興市場は、グローバルeスポーツにおける成長の鍵を握っている」と述べており、今回の提携に強い期待を寄せている。
また、BLASTは他のゲーム会社やパブリッシャーとの連携にも積極的であり、最近ではPUBGとKRAFTONとのグローバルパートナーシップの強化を発表している。
BLASTとはどんな企業か
BLASTは、2016年に設立されたデンマークのeスポーツ企業で、これまで『CS:GO』や『Valorant』などの公式大会を主催してきた。

高品質な大会運営やメディア配信のノウハウに定評があり、ヨーロッパ・北米・アジアなど世界各地で活動している。
独自のブランド「BLAST Premier」は、プロeスポーツリーグとしても評価されている。
Relianceのeスポーツ事業参入の意義
Relianceはこれまで、小売や通信、メディアなど多岐にわたる事業を展開してきた。
中でもスポーツ分野への投資には力を入れており、同社傘下のRISE Worldwideはすでに複数のスポーツリーグやアスリートマネジメントで実績を持っている。
今回のeスポーツ分野への参入も、その延長線上にある戦略の一部といえる。
特に、若年層の支持を集めるeスポーツ分野においては、インド国内におけるリーチ拡大やブランド強化、スポンサーシップの獲得など、多くのメリットが期待されている。
今後の展開に注目
RISEによるインドeスポーツ市場への参入は、国内にとどまらずグローバルな影響を与える可能性がある。
BLASTの国際的なネットワークとRelianceの国内インフラが融合することで、新たな大会フォーマットやプレイヤー育成機会が創出されると予想される。
今後は、対象タイトルやリーグの発表、インド国内におけるeスポーツ施設の整備、新たなスポンサーの参入など、次のアクションが注目される。
特にアジア圏のeスポーツ市場が再注目されている現在、インドの動きは他の地域にも波及していく可能性が高い。